歴史に学ぶ?『4人の泥棒の酢』4 thieves vinegar☆
”Makes”

アロマセラピーやハーブを学んだ方は、一度は耳にしたことがある?『4人の泥棒の酢』。4 thives vinegarとも言い、フランス語では”Vinaigre des quatre voleurs.”。発祥は、南フランスのトゥールーズで、1630年ころに蔓延したペスト(黒死病)の状況下で盗みを繰り返す泥棒がいました。でも…なぜかこの泥棒達はペストにかからなかったのです。この後泥棒が捕まった際、何故ペストにかからないのか教える事と免罪を引き換えに、泥棒から聞き出したレシピだと言われています。
トゥールーズはフランスの南西部に位置し、『バラ色の都市』(la ville rose)『スミレの街』(Cité des violettes)としても知られていますね。
この泥棒のレシピ。酢をベースにセージ・タイム・ローズマリー・ミント(ラベンダーという説も)を漬けたものを身体に塗って使用したとか。これらのハーブは抗菌系のハーブ。ペスト=菌なので、何かしらの効果があったんだろうな~と思わせますネ。

『4人の泥棒の酢』のレシピですが、トゥールーズでのペスト蔓延の約100年後。1720年頃のマルセイユでもペストが蔓延した際、このレシピが進化?し『マルセイユの酢』としてまた人々を救いました。
『マルセイユ酢』のレシピは、ドライローズマリー・ドライセージの花・ドライラベンダーの花・生のルー・樟脳・ガーリックスライス・クローブなどのようですが、文献によって少しずつレシピが違うようです。
フランスでは1748年?に”Vinaigre des quatre voleurs”のレシピが、フランスの薬局方であるCODEX(コーデックス)に登録され、長い間消毒薬?として販売されていたようです。
4人の泥棒の酢
(Vinaigre des quatre voleurs.)
- アブサン(Absinthium officinale)
- アブサン(Artemisia absinthium)
- ローズマリー(Rosmarinus officinalis)
- セージ(Salvia officinalis)
- ペパーミント(Mentha piperita)
- ヘンルーダ(Ruta graveolens)
- ラベンダー(Lavandula angustifolia)
- ショウブ(Acorus calamus)
- シナモン(Cinnamomum verum)
- クローブ(Caryophyllus aromaticus)
- ナツメグ(Myristica fragrans)
- ニンニク(Allium sativum)
- 樟脳(Camphora)
- 酢酸(Acidum aceticum)
- 白ワインビネガー(Acetum vini)
手に入りづらいハーブや毒性があったり、現在はあまり使用されていないハーブもあったようです。
ディオスコリデスによると、エジプト人は、ルー(Ruta graveolens)をエフノウボンと呼んでいたらしい。ルーは、ヒポクラテスの『薬物誌』にも登場する。非常に苦味の強いハーブだが、古代ローマでは食材として人気だった。プリニウスもハチミツ酒の風味づけに用いると述べている。
「食」の図書館 ハーブの歴史 より抜粋
4人の泥棒の酢(4 thieves vinegar)風を作ってみる
ペストは菌で、新型コロナはウイルスですし、もちろんこの『4人の泥棒の酢』4 thives vinegarに対してのエビデンスはありませんが…時間が出来てしまったし…(汗)このことを前向きに捉え、この時期に作ってみよう!

…とはいってもハーブには、フレッシュハーブとドライハーブがあります。ハーブは乾燥させると風味が強くなるものもあれば弱くなるものも、乾燥させることによって別の物質になると言われているものもあったりします。

『4人の泥棒の酢』の薬局方に登録されたものにはタイムは入っていなく、トゥールーズのレシピにはニンニクなどはなかった?少しずつ違うようなので、手元にあるハーブをフレッシュとドライを混ぜて独自にブレンドしてみます。今回使ったハーブは以下。
- ローズマリー(Rosmarinus officinalis)(フレッシュ)
- セージ(Salvia officinalis)(フレッシュ)
- ペパーミント(Mentha piperita)(フレッシュ)
- ラベンダー(Lavandula angustifolia)(ドライ)
- タイム(Thymus vulgaris)(フレッシュ)
- シナモン(Cinnamomum verum)
- クローブ(Caryophyllus aromaticus)
- ジュニパーベリー(Juniperus communis)
- アップルサイダービネガー

ニンニクも入れようと用意しましたが…なんとなく(笑)やめてみて…香りも良く、抗菌・抗炎症作用があると言われるジュニパーベリーを追加し、瓶に入れてアップルサイダービネガーを注ぎ、約2週間漬け込みます。さて、どんな風に出来上がるでしょうか?

今回お酢は、アップルサイダービネガー(リンゴ酢)を使用。アップルサイダービネガーはリンゴに含まれる果糖を自然発酵させたもの。ただ…リンゴは『奇跡のリンゴ』を読んでから、特に減農薬のものを選びたい(もちろん他のものもですが)…と思っていたので、BROWN SUGAR 1st.(ブラウン・シュガー・ファースト)のオーガニックのものを。
4人の泥棒は漬け込んだものを肌に塗っていた(飲んでいたとも)と言われていますが、酢なのですから酸性なわけで…人間のお肌は弱酸性。肌は強い方ではないので、薄めて使っても肌荒れしそうだな~というコトで、出来上がったら炭酸やお酒に薄めて飲んでみよう♡
この『4人の泥棒の酢』のレシピを、1976年にナチュロパス(自然療法家)のルイ・ウべルティが蘇らせ、フランス・ウベルティ社のアップルサイダービネガーをベースに、オリジナルブレンドで「フォーシーブスビネガー 28」が発売されています。
参考文献
- Codex, pharmacopée française
- 世界の薬局方シリーズ1フランス薬局方
ハーブの歴史☆
ニンニクと健康☆
使ったモノ
有機りんごだけで作った、りんご酢☆
ガラスジャーはWECK☆