トロッな干し柿が食べたくて…
”Foods”

干し柿を作ろう
11月から渋柿が出回り始めますね。
去年それに気づいた時にはすでに12月も半ば…
昨年に引き続き逃してしまったーと思いながら滑り込みセーフで渋柿を購入。
時期が遅かったのであまり良いものが届かないんだろうなぁと思っていたら、立派な美味しそうな柿が到着。
美味しそうだな〜♡
実は甘くて美味しいんじゃないかしら?
変な好奇心が湧き1つ切って食べてみる。
「 ぎゃ…ぺっ…」
舌をギュッとされるあの独特な渋みが口の中に広がります。
渋柿を買ったのだからあたり前に渋いのです笑
渋柿はなんで渋いの?
渋さは渋柿に含まれる水溶性のタンニンの仕業。
メディカルハーブではタンニンは、局所血管の収縮作用、下痢を抑える、収斂作用、抗酸化作用、抗菌作用などがあると言われています。
渋柿のタンニンは水溶性のタンニン。口の中で溶けやすく、溶けた時に口の中や舌の粘膜にあるタンパク質を変性させ、これがギュッとなる独特な食感になります。
渋柿のタンニンって何?
干し柿ではこの水溶性のタンニンが、干したり揉んだりすることで不溶性のタンニンに変わり、口の中で溶け出しにくくなるため渋く感じなくなるという仕組み。
※渋が抜けて甘みを感じるようになるのは元々柿に含まれている糖で、渋が抜けて甘味だけ感じるようになったもの。タンニンが糖に変わったわけではありません。
渋柿はそもそもなんで渋くなるの?
渋柿の渋みの原因物質もタンニンですが、種子が成熟するまでは渋みを蓄えています。渋みのある間、動物は柿を食べようとはしません。しかし、柿の果実が熟して完全に熟れてくると渋みはなくなります。これは渋みの元になっている水溶性タンニンが、水に溶けにくい高分子重合体に変わっていくためです。こうして渋みが抜けて、甘くなった果実は動物にとって格好の食料となります。そして、動物は熟れた果実を食し、その中にある種子を様々な場所に運んで、結果的に柿の播種を助けてくれるのです。植物は渋みをもつタンニンを上手にコントロールすることで、捕食者からの食害を防ぐと共に、種によって次世代を残すという二重の生存戦略を発達させたと考えられます。
「植物はなぜ薬を作るのか」より
果実が成熟するまで渋みを蓄えていて、果実が熟れたら渋みをなくす。熟れた美味しい果実は動物に食べてもらって、種子を繁殖の為に運んでもらう…植物って本当に賢い!!
※柿についての効果・効能について保証するものではありません。
干し柿を作ってみる

干し柿の作り方
材料
渋柿(今回はあたご柿を使用)
紐(40〜50cm)数本
使い捨てゴム手袋
- 柿を軽く洗って皮を剥きます。※ヘタは一緒に剥いて、枝は紐をくくりつけるのでカットしないようにします。今回はリンゴの皮むきのように皮むきしましたが、縦方向に(ヘタの方から下に向かって)むくと見た目の仕上がりが良いそうです。
- 紐1本に対して両端に柿1つずつ、計2個結ぶ。 ※この時、残しておいた枝部分にしっかりと結びます。
- お鍋にお湯を沸騰させる。 ※柿全体を煮沸消毒できるように、柿全体がかぶるくらいの深さにする
- ②で作った柿のついた紐部分の真ん中を持って、両端の柿を2ついっぺんに沸騰した鍋の中に5〜10秒ほど入れて煮沸する。
- ベランダや軒先など雨の当たらないところに吊るす。 ※この時、柿同士があたるとカビたり腐りやすくなるので、それぞれのバランスを見て柿があたらないようにする。 せっかく煮沸した柿に直接触れないように使い捨てゴム手袋をするのがおすすめ。干し柿は、保護作用のある表皮をむいて果実部分を出してしまうので、菌には弱いです。直接触らないのが鉄則です!
- 1週間~10日位で表面が乾燥してくるので、直接柿に触れないように使い捨て手袋などをして柿を一つ一つ軽くもんでいく。
- 揉んだ2日後位にまた柿を揉む。今度は中まで柔らかくなるように、表面が破けない程度に少し強めにしっかり揉んでいく。
- またしばらく乾燥させる。
- 干し始めてから約2〜3週間くらいで完成!
気温や天候、柿の状態にもよりますが、大体2週間~3週間くらいから美味しく食べられるようになります。お好みの感じを見つけてみてください。(長く干し過ぎるとどんどん黒く硬くなるので注意!)

干し柿の栄養価
β-カロチン・食物繊維・ミネラル
※柿が赤くなれば医者は青くなると言われ、ビタミンCなどが多いのは生柿です。栄養価を期待するなら生柿がおすすめ!
干し柿を沢山作ってしまったら?
1つずつラップしてジップロックに入れて冷凍保存もできます。 (解凍するときは自然解凍)
干し柿づくりに使ったもの
干し柿
南部鉄瓶
鉄分もとれる!女性の強い味方
最後に
とろっな甘いおいしい干し柿ができました⭐︎
あんぽ柿のようにもっとトロトロにさせるには、硫黄燻製させて作る方法なので、家で手作りするには単純に乾燥させる干し柿が無難です。単純に干す干し柿は、時期や天候・湿度などに左右され、かびたり黒くなったり見た目も綺麗に作るのは難しく、あまり干しすぎると硬くなったりもしますが手作りだと愛着も湧き、美味しく感じます♡
来年は表面に粉をふかせた干し柿にTRY⭐︎
参考文献
- 美味技術学会誌 2012.11 美味な「干し柿」と各地の生産方法
柿づくし
柿についてかなり詳しくのっています。柿は全ての部分が活用できる凄い果実!柿の事から使い方・保存法・レシピまで満載